2008年3月15日 (土)

閉鎖病棟

箒木逢生

新潮文庫

タイトルだけ見たら絶対手を出さなかった種類の本なのに

なぜか買ってしまって、やっぱりしばらく放置した本。

でも読み始めたら一気に読めた。

タイトルから推察できるように、精神科の病院のお話だが

入院患者一人ひとりにあてる視点は優しい。

この物語に登場する人たちにはそれぞれに

重い過去があり、病気ゆえに身内から見捨てられたり

疎まれたりしているけれど、患者同士が

お互いのテリトリーをおかすことなく、暗黙のルールのうちに

毎日を生きている様が描かれている。

決して積極的に読みたいテーマではないかもしれないけれど

精神科医でありながら、作家も兼ねる作者の別の本も

読みたいと思える本だった。

私の採点 : ☆☆☆☆

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2007年11月 9日 (金)

硝子のハンマー

貴志祐介

角川文庫

密室殺人の謎に挑むのは防犯コンサルタントと女性弁護士

という風変わりな推理小説。

大区切りの二部構成の中に小区切りがある。

探偵役が犯人に思い当たる一部で犯人を特定できる人は

多分いないのではないだろうか。

二部では、犯行を犯すに至るまでを過程を丁寧に描いて

最後に探偵が種明かしをする。

密室の謎を解き明かすために、よくもこれだけ

いろんなことを考えるもんだな・・と感心した。

犯人が、この犯行を犯すに至る過程を丁寧に描写しているため、

殺人を容認するわけじゃないけど犯人には同情してしまった。

この犯人のような状況に置かれたら

頭がよければこんなふうに自分の境遇から逃げ出そうと

するかもしれないなと思う。

それにしても広域暴力団というのは恐いもんだなぁ。

犯人の友だちが亡くなってしまうのもやっぱり

この集団のせいだったようだしね。

この探偵コンビ、結構いい感じかもしれない。

まもなく、このコンビが活躍する中篇をまとめたものが

出るらしいので、ちょっと楽しみ。

私の採点 : ☆☆☆☆

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2007年9月21日 (金)

楽園

宮部みゆき

文藝春秋社

模倣犯に登場した前畑滋子が再度登場。

息子を事故で亡くした萩谷敏子からの依頼で

時効が成立している事件の背景を調べていく。

いろいろな親子の形が描かれていて、

読み進みながらも考えさせられることが多かった。

息子を喪った敏子に最後でご褒美が用意されているのが

ちょっと救いになっているかな。

いかにも宮部みゆきらしい話の展開でもあるし

上下2冊のボリュームは読み応えがあった。

でも、この依頼を引き受けるつもりのなかった滋子が

引き受けるきっかけになった、模倣犯に登場する

山荘の絵についての謎がとけないまま終わったのが非常に不満。

どこか、もしくは別の作品で回答してくれるのだろうか。

私の採点 : ☆☆☆☆

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2007年9月 8日 (土)

そのときは彼によろしく

市川拓司

小学館文庫

6月に公開された映画の原作。

映画のほうを観にいきたかったのに、いきそこなったので

原作を読んでみようと思って手に取った本。

ジャンルで言ったら、ファンタジーにくくられるのだろうか。

2人の少年と、1人の少女と、1匹の犬が過ごした1年が

心優しく暖かく過ぎていき、離れ離れになってから

15年ほどたった時にまた3人が出会う。

3人が出会うだけではなく、もう一つ別の再会も偶然に果たされる。

そして不器用な智史が、初恋の女の子を待ち続ける。。。

恋愛展開よりも、私の気持ちにはいりこんできたのは

親子関係のありかただった。

29歳の智史が、もういい大人であるにも関わらず

”いまだにやっぱりぼくは父さんの子供なのだ。(中略)

寄る辺となる大人がいることで、ぼくの背負う荷が

ずいぶんと軽くなるのを感じる”と語る部分をはじめ

智史が優しく多少なりとも頑固に育ったのが納得できる。

子供がどんなに年を重ねても、親は親なんだなぁと

力むことなく感じることができた。

寄る辺となる大人でいることが自分にもできるかなと

思わず考えさせられた1冊になった。

私の採点 : ☆☆☆★

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2007年7月 7日 (土)

僕僕先生

仁木英之

新潮社

著者のデビュー作とのこと。

中国を舞台にした不思議な物語。

仙人である僕僕先生(女の子の格好をしていることが多い)と、

怠惰な生活をして過ごしてきた王弁とがひょんなことから

師弟となり、旅に出てしまう。

様々な経験をするうちに、女の子の姿をしている師匠に

恋をしてしまう弟子・王弁。

うまくあらすじを書けない展開だけど、読んでみると意外に

すんなり読める。

深読みをすることもあっさり筋を追うこともできるファンタジー小説。

僕僕に対して恋心を抱く王弁が、強引に迫ろうとして

「自分の正体が老人だとしても望むなら」と言われて

(僕僕は姿を自由に変えることができるから)

萎えてしまうシーンは何だかおもしろかった。

私の採点 : ☆☆☆

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2007年7月 4日 (水)

ちんぷんかん

畠中恵

新潮社

大好きなしゃばけシリーズの第6弾。

相変わらずの登場人物たちなんだけど

今回の短編集は、少し変化を感じさせる話が多かった。

大人になっていくことで、家族が離れていったり

数少ない友だちが修行のために少し遠いお店に

行ってしまうなど、若だんなもいつまでも病気してばかりでは

だめなんだよ と言っているかのような展開。

私としては、いつまでものほほんと楽しく暮らす

若だんなたちを見ているのが好きだけど

そうとばかりはできないよなぁ、やっぱり。。。

私の採点 : ☆☆☆☆

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2007年5月10日 (木)

憑神

浅田次郎

新潮文庫

そういえば映画やるみたいだな・・と思って

手にとってみた本だったけれどなかなかおもしろい。

軽い気持ちで拝んでしまった祠が三巡稲荷だったため

出世どころか 貧乏神 厄病神 死神にとり憑かれる。

主人公の別所彦四郎はどうなっちゃうんだ!

時代は幕末、 舞台は江戸、 

婿入り先から出戻ってきて厄介者になっている彦四郎が

3人の神様と関わり合う事で、周囲の人間を巻き込みながら

最後の死神との決着をどうつけるのか。

徳川幕府が政権を幕府に返還し世の中が変わっていく時に

彦四郎が出した答えは彼の人柄ではこれしかないだろう

というものだった。

それぞれの神様が妙に人間くさく(?)

それぞれと正反対のイメージを持つ人間に身をやつし

あの手この手と不幸をまきちらしているのは

何となくユーモラスでもあった。

私の採点 : ☆☆☆★

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2007年4月29日 (日)

Gボーイズ冬戦争

石田衣良

文芸春秋

IWGPシリーズ第7弾。

相変わらずの軽快なストーリー展開と

目に浮かぶ池袋の町並み。

今回の4つの物語も、危険とユーモアが入り混じって

あっという間に読み終わってしまった。

キングがマコトと握手する4つめの物語も好きだし

ちょっぴり泣かせる展開の3つめの物語も好きだし

うまく感想が述べられないシリーズではあるんだけど

これからもずっと続いてほしいと思う。

私には池袋という一番なじみの深い繁華街が舞台のせいも

あるかもしれない。

知ってる地名、建物が頻繁にでてくるので

それだけ親しみがもてるから。

私の採点 : ☆☆☆☆☆

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2007年4月28日 (土)

幽霊人命救助隊

高野和明

文春文庫

自殺した4人の霊が、成仏して天国へ行くために

49日間のうちに100人の自殺志願者を思いとどまらせよ

という神様からの宿題をこなすという内容。

自殺を思う人たちの心は実に様々であり

事情も個々によって異なるために苦労しながら

手探りで奮闘していく幽霊たち。

時にはユーモラスに

時には自殺してしまった自分自身の後悔に思い至りながら

4人?で励ましあい、意外とバランスの取れたチームとして

任務を果たしていく。

幽霊のくせに、ドアや壁をすり抜けたりすることも

浮遊して場所を移動することもできないという

情けない自分たちを嘆きつつ、それでもまじめに

自分たちの宿題と向き合っていく。

最後のエピローグはこういうふうにしか終われないだろうと

思わないでもないけど、それを差し引いても

この本はなかなか面白かった。

私の採点:☆☆☆☆

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2007年4月14日 (土)

模倣犯(再読)

宮部みゆき

新潮文庫

世の中のスピードが加速している気がするせいか、

世の中にいろんな惨い事件が多いせいか、

こんなこともありえるかもしれない感が増した。

改めてお豆腐屋さんのおじさん、有馬義男の存在が

私の中で大きかった。

マスコミの怖さ、危うさを感じたような気がした。

そして、警察で実際の捜査に携わる人たちにも

事件によっては想像力も必要になる可能性があることを

感じて欲しいと思った。

これは小説ではあるけれど、両刃の剣にならないといいと思う。

みんな少しずつ嫌なやつで、少しずついい人なのは

多分世の中のほとんどの人に当てはまることだと思うから

読者はこの小説で紡ぎだしたシチュエーションを

きちんとしたフィクションとして受け止めるべきだと思う。

もっともこの小説も、もうかなり前に上梓されたものだから

もう大丈夫かな。。

私の採点 : ☆☆☆☆☆

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